高校野球にどのようにして落合博満さんの考え方を反映させるか、思案のしどころである。
【「負けない努力」が勝ちにつながる】
①先発投手がお互いに3点以内に抑えて投げ合っているような展開を投手戦
②反対に両軍の打撃が活発に機能し、5点以上を取り合っているような展開を打撃戦
私はドラゴンズの監督に就任してから、ずっと投手力を中心とした守りの安定感で勝利を目指す戦いを続けてきた。
野球の勝敗の80%は投手が握っていると言われるように、投手は守りの中で唯一、ボールを投げることで「攻撃できる」役割なのだし、投手が投げることで試合が動くという性質上、野手はどうしても受け身の立場だからだ。
【采配は結果論。事実だけが歴史に残る】
私は今までもこの自分の采配を「正しかったか」それとも「間違っていたか」という物差しで考えたことがない。ただあるのは、あの場面で最善と思える決断をしたということだけである。
事実だけが歴史に残るのだ。
責任ある立場の人間が下す決断ー采配の是非は、それらがもたらした結果とともに、歴史が評価してくれるのではないか。ならばその場面に立ち会った者は、この瞬間に最善と思える決断をするしかない。
【「勝利の方程式」より「勝負の方程式」】
内容を簡単に説明すると、私のグラウンドでの経験をもとに、「こうすれば相手は嫌がる」、「こんな取り組みをして失敗した」というように、勝負を少しでも優位に戦っていくための原理論をまとめたいものだ。
【大切なのは、勝ち負けよりも勝利へのプロセス】
道の先にある「勝利」の定義とは、人それぞれなのだ。
もっと言えば、「勝利」の正体が何なのか、すべてわかった上で突き進んでいる人などいないのだと思う。だからこそ、大切なのは現時点の自分が「勝ち組」なのか「負け組」なのかと自覚することではなく、ただひたすら勝利を目指していくこと。そのプロセスが人生というものなのだろう。
落合さんの考え方に物申すほどの人間ではないことを大前提に私なりの意見。まず、高校野球においては、トーナメント戦ということもあり、守備より打撃だと考えている。投手力はもちろん大切なのだが、野手の第一義的には打撃だと思う。
「勝負の方程式」の考え方はとても興味深い。私もセンスポイントという用語で説明することだと思われるが、勝負できる武器を自分の中に複数もつということだと思う。しかも、相手に「やられた」と思わせる形で。「勝負の方程式」を理解することで、有利に試合を繋げられる。
これからも、高校野球に落合理論をどんどん落としていこうと思います。