采配 落合博満
今回も引き続き第4章です。
落合監督の深いリーダー論がそこに。
ーデータに使われるな。データを使え。ー
実際に対戦した投手の印象を自分なりに整理し、「こういう場面ならこうしよう」と自分の方法論を確立しておく選手が、成績を残していくのである。その上でスコアラーから『最近5試合のデータ』などを見せて貰えば、自分の感性の引き出しも活用して、その場の対処法を編み出していける。どんな世界にも「生き字引」と呼ばれる人がいる。せっせとデータを集める前に、自分自身が”データ”になろうと努力すべきではないか。
ー監督は嫌われ役でいい。嫌われ役がいい。ー
身内からも嫌われるのが監督という仕事なのだと思う。嫌われるのをためらっていたら、本当に強いチームは作れない。本当に強い選手は育たない。
ーチームに「チームリーダー」はいらないー
チームリーダーという存在によって、競争心や自立心が奪われていくことは、組織においてはリスク以外の何物でもない。
ーできる・できない、両方がわかるリーダーになれー
「マイジーズンAクラスに入れるチームを作ることができた要因は何ですか。」
そう問われた時、私が唯一はっきりと答えられるのは「選手時代に下積みを経験し、なおかつトップに立ったこともあるから」である。
ビジネスの世界にも(たぶん教育の世界にも)、一流大学から大手企業に進んだエリートもいれば、コツコツと下積みから這い上がった人もいるだろう。さまざまな歩みをしてきた人がさまざまな思いを抱えているだけに、少しでも「できる人の思い」「できない人の気持ち」、両方を理解できるリーダーになってもらいたい。
監督は嫌われ者でいい。私も同意見である。
はじめは、嫌われ者になることが辛い時期もありましたが、最近はそれにも慣れてきて、だんだん居心地が良くなってきています。
最近の若者は厳しくされていない分、自分も厳しくできない人が多いと聞く。私は、そうならないようにしたいと思う。