深い考えが進む。日々、少ない時間でも野球に触れることが野球人としての基礎であり義務であると思う。
「野村ノート」
第4章 才能は学から生まれる
【捕手は「疑い屋」であるべき】
「捕手は監督の分身」である。
私は捕手には「分析」「観察(目に見えるものを見る)」「洞察(目に見えないもの=心理を読む)」「判断」「記憶」の5つを求める。最低でも観察の段階まで到達しておかないと、的確なリードはできない。
情報はゲームのなかに落ちている。それをもっとも感じ、見抜けるのが捕手というポジションである。
諸葛孔明が子孫のために残した家訓のなかに次のような一節がある。
優れた人は静かに身を修め徳を養う。
無欲でなければ、志は立たず、穏やかでなければ道は遠い。
学問は静から、才能は学から生まれる。
学ぶことで才能は開花する。
志がなければ学問の完成はない。
リードについてだけでなくすべての物事が、「興味を持てた瞬間」に勝ちだと思っている。「あっ、面白い」と思った瞬間にその技術は一気に伸びる。例えば、一本のホームランが打撃を大好きにさせたり、一本のタイムリーが興味を変える。私もそんな瞬間があった。強豪校の投手から3安打、その試合の得点のほとんどを自分で叩き出した。この瞬間に打撃が、そして打撃練習が大好きになった。
指導者はどのようにそれを大好きにさせるかがとても大切だと考える。
ある名言でも言われている。「努力は夢中に勝てない。」私もそう思う。
【松坂に求めたい「興味」と「必要」】
その理由のひとつは松坂の原点能力(外角低めの直球のコントロール)の低さにあるのだが、もうひとつ松坂の欠点を挙げるとしたら、それは彼の投球フォームにある。
結局、投手のフォームに幻惑されてタイミングに合わなかったり、りきんだりするのだ。
集中力を高める2大要素とは「興味」と「必要」である。
ほんの少し「フォームの見直し」「腕の振り(スピン重視)」に工夫をこらせばひと皮むけるのではなかろうか。
近年の流行り「力感のない投球フォームからキレのあるストレート」or「豊かな体格を利用した150km/h以上のストレート」がある。
全国の120〜130km/h前後のストレートを持つ投手が目指している考え方が前者である。イメージとしては巨人の杉内投手のようなストレートということになるだろう。
この系統のストレートを投げるために私が考えた「ジェット投法」が必要になる時も来ると考えている。