野球と通じて人間教育を。これは、すべての野球人のなかに置いておいて欲しい考え方である。
「野村ノート」
第5章 中心なき組織は機能しない
【はき違えたチーム優先主義】
平成17年、日本球界でもっとも信頼が置けるエースはというと上原だった。・・・だがこのフォーム以上に、彼の特徴は原点能力、つまり直球を外角低めに投じる精度の高さにある。・・・こういった場面(ただし右投手対左打者、左投手対右打者には当てはまらないだが)で私は捕手に「原点を要求しなさい」という。・・・その際、原点は死角になっている。・・・実際、内角への対応が遅れるために外角低めの直球を待つ打者はまずいないが、仮に狙われたとしても、原点にきっちり来れば打者はファウルにするのが精一杯である。
それなのに「アメリカが120級で交代してるからそれが先発投手の限界なのだろう」という考え方は固定概念以外の何ものでもない。
【エースは鑑でなくてはならない】
「上原を見習え」「古田を見習え」そういうだけでチームが正しい方向に向かう。
彼らの行動にチーム全体が正しい方向に進めるかどうかかかっているである。
中心になる選手がいるからチームはうまく機能するのだ。
【自己中心は致命傷】
「思考が人生を決める」といわれている。
「どの道をとったか」「何を選んだか」という小さな選択肢が、周囲に影響を与え、その人間の評価につながり、そして最終的にはその者の人生を運命付けていくのである。
基本的な思考パターンがその人間の行動パターンを造る。
わたしも、mind setの話をよく選手にはしている。自分がとる行動に内、意識の世界と無意識の世界ではどちらが多く影響を与えているか。これは、歳を重ねるほど無意識の世界が多くをしめてくるようになる。高校生にもなるとある程度自分のmind setというものが確立されてきて変化させることが難しくなってくる年頃になるが、そこでも強烈な意識を加えることでまだ変化は可能な時期であるとも思う。
選手にどれだけ正しいmind setを植え付けるか。これが指導者の力の見せ所でもある。