勝てる野球の統計学 鳥越規央
2.ホームランバッターか三割打者か?ー「全員イチロー」vs「全員バレンティン」
「打率」という指標は、安打を打てる確率を表すもので、選手の安打製造能力を示す重要な指標ではあるが、出塁する方法は何も安打だけではない。四球や死球でも塁に出ることができ、それによってチームの得点力を上げることが可能である。選手が出塁できる確率を表す指標として「出塁率」が以下の式で定義されている。
2013年のセ・リーグのデータを見てみると、やはりバレンティンが.455と最も高い値となっており、打席のおよそ半分で出塁したことになる。
高校野球で目指すべきは打率3割より出塁率4割だろう。そのためにスイングやポイントやタイミングを改良していくことだろう。
そこで、「打撃によって得られる1打席あたりの塁打率」を表す指標として「長打率」がある。つまり安打にそれぞれ、単打に1、二塁打に2、三塁打に3、本塁打に4という重みをつけ、その加重平均を求めたものである。「長打率」も「打率」より得点との相関が強い指標である。
出塁率と長打率を加算した指標をOPS(On-base-PlusSlugging)という。
OPS=(出塁率)+(長打率)
出塁率に適切な係数をかけた指標が提案されている。1984~2013年の日本プロ野球のデータを分析した結果、長打率1に対し、出塁率1.57の比率となる係数が最適であると判明した。
OPS=1.57(出塁率)+(長打率)
得点能力を測る上で打撃とともに重要となる「走塁能力」さらに犠打、犠飛といったランナーを進塁させる能力が考慮されていないという欠点も指摘されてきた。
そういった能力を加味した指標のひとつとして、RC(Runs-Created)を考案した。
統計学でいうところの重回帰式のように形で表されている。XR(Extrapolated-Runs)という指標もよく知られている。このXRは、各攻撃成績の項目に重みづけして加減することで、選手個人の得点獲得能力を示そうとするものであり、
近年では、単打1本や本塁打1本が、どれだけ「得点」に影響しているかを測ることによって、より明瞭に打撃成績から得点能力を計算しようとする試みが多く行なわれている。
重み付き出塁率wOBA(weighted On-Base Average)である。
アウトを取られることで失う得点価値を基準にした各プレーの得点価値を表している。
平均出塁率0.325と等しくなるようにwOBAscaleを1.25として調整を行う。これによって導かれた日本版wOBAの算出式は、
計算式を複雑で掲載できないでいますが、選手に数字の意味を教え込み、私が求める選手はこの数字の高い人間だと指標を示すことで、自分の努力の方向性を定められればと思っている。
ただ我武者羅に頑張れというのは無責任であり、指導者失格である。トレーニングをするにしても必ず数字目標を立てさせる。もしくは、こちらが定めることが大切である。
それに向けて、方法を提示し継続的に努力させることが大切であると思う。
勝てる野球の統計学 サイバーメトリクス 鳥越規央
http://www.amazon.co.jp/勝てる野球の統計学―セイバーメトリクスー