バッティングの理屈 落合博満
第5章 上半身のメカニズム「あえて松井秀樹の欠点を分析する」
ー意識と実際の動きのギャップに気をつけようー
トップに位置は『ストライクゾーンの上限より高く』
なぜなら、ストライクゾーンの上限よりも高い位置にトップがあれば、すべての高さの投球に対してバットを振り下ろす感覚で対応できるからだ。
1998年の日米野球で来日したサミー・ソーサ(カブス)から、松井はバッティングに関するアドバイスに関するアドバイスをいくつも受けた。そのひとつに、「軸足で回転して打つ意識」というものがあった。
どんな競技であれ、スポーツ選手には頭で意識している理屈と実際に表現している動きが異なっていることがある。
そのことは、松井自身、いや松井の体がわかっている。そこで、ボールの威力に負けないように、無意識のうちにバットを上から振り下ろそうとする。この体の動きの修正は、スイングに余分な動きを生み出す。下から出たバットを上から振り下ろすように軌道修正するー聞き慣れた表現を使えば、”スイングが波を打つ”のである。