バッティングの理屈 落合博満
第5章 上半身のメカニズム「捕手寄りの腕のヒジの使い方を覚えよう」
ー捕手寄りのヒジの使い方は外国人選手を手本にしようー
そこで大切なのが、トップの位置から振り出すスイングのスピードを落とさなよう、スムーズに体の前を通すことである。ここでは、この動作を”ヒジを抜く”と表現する。
なんとかヒジを抜こうとするあまり、どうしてはならないことも書いた。
投手寄りの腕をトップの位置に入れる際、肩を一緒に動かしてはならないことも書いた。
この2つのことに注意しなければならない。そして、日本人の打者が最も不注意なのがこのポイントだ。
左打者の場合は、この2つのポイントがうまくできていなくても、それなりの成績を残すことができる。それは、野球という競技が『打ったら一塁へ走る』と決められているからだ。
左打者が本塁打を捨て、すべてのボールを三遊間方向に打ち返せばいいというバッティングをするのなら、ある程度の打率は残していけるだろう。
私は体を開いてしまう打者が多いことが大きな原因だと感じている。
私がロッテ時代にクリーンアップを組んだレロン・リーも、捕手寄りのワキを開いて構えていた。日本人選手なら「ワキを締めろ」と矯正されてしまいそうな構え
水平にしたヒジを下ろすスピードも、スイングの加速に生かすのだと言うことだった。
投手寄りの腕はスイングをリードし、捕手寄りの腕はボールを押し込むという役割を果たしている。
落合博満 バッティングの理屈 三冠王が考え抜いた「野球の基本」