バッティングの理屈
第5章 上半身のメカニズム「トップの位置から一直線にバットを振り出すには」
ーボールはグリップでつかまえようー
①打球を90度の扇形の中に打ち返すのなら、バットもこの90度のエリアの中でさばくという意識が大切である。故に、フォロースルーではバットのヘッドが投手に向かうのがいい。つまり、バッドを振り抜く理想的な方向はセンターである。
②トップの位置はできるだけ深く入れるべき。より深くという感覚は、投手寄りの腕のヒジがしっかりと伸びること、と言い換えることができる。また、投手寄りの肩を動かさず、両腕でトップの位置に入れなければならない。投手寄りの肩が動く選手の多くは、トップの位置に入れる際に捕手寄りに肩が入りすぎるのだが、これでは顔も引きずられて動いてしますため、構えた時と視界が変わってしまうという欠点が生まれてしまう。また、この時は捕手寄りの腕のヒジの抜けも悪くなる。
③トップの位置の高さは、『ストライクゾーンの上限より高く』が理想ではないか。なぜなら、ストライクゾーンの上限よりも高い位置にトップがあれば、すべての高さの投球に対してバットを振り下ろす感覚で対応できる。さらに、トップの位置が高いとバットのヘッドは下がらない。反対にトップの位置が低いと、高めのボールに対してグリップを寝かせて振り出さなければならない。すると、腕を上に振り上げることでバットのヘッドは下がり、スピードにあるボールへの対応には苦労する。また、投手寄りのワキが開いてしまうため、スイングが波を打つという悪癖も身に付いてしまう。
④トップの位置から振り出す際、捕手寄りの腕は体の内側でたたむべきだが、これはヒジの抜けをよくするために最大のポイントである。ヒジの抜けが悪いと、強い打球が打てないのはもちろんだが、なんとかヒジを抜こうとするあまり、どうしても体を開いてしまう。また、この注意点は②と深い関連性がある。
⑤トップの位置からミートポイントへ一直線に振り出すスイングは、両肩を動かさず、投手寄りの腕のヒジを開かないようにしてグリップをミートポイントにぶつけていくという感覚で身に付けられる。その際、ポイントを見据えている目の前をバットば通過していけば、スイングは無駄なく正しい軌道を描いているといえる。