GRANDSLAM.3 河野 慶
【相対性時間軸の法則】
みかんを2つ持ったおじさんがお嬢さんに違うスピードで投げられたみかんをキャッチできないという場面でも話しだ。
”相対性時間軸の法則”
人間の目は2つの速度を同時に認識できない。別々のスピードで投げたみかんを取るのは難しい。写真で2つの速度の物体を撮影すると一方はブレる、または両方ブレる。その原理と同じ。そして、”ピッチング”とは「身体の軸の移動」と「ボールのリリース」が別の時間軸を持ってるということ。
良い投手の評価に”球持ちの良い投手”というのがある。それは打者からすれば投手の「体の重心」は向かって来ているのに「腕の振り」が、なかなか現れないことを意味する。その2つの時間軸を打者の眼は認識できないのでタイミングがとりづらくなりボールを捕らえきれなくなる。
過去に球辞苑に球持ち特集があった、その時にも議論になっていた速さや力感のギャップの話。中学生を指導する中で私が大切にしているのもこれ。これが一番打者を抑えるために重要だと考えている。力感が出しながら、腕にガッチガチに力を入れて、気合いも載せて150km/hのストレートを投げても打たれます。しかし、力感なくステップしつつ、一気に反転して、腕が体に振られ、リリースが低く、前になることで120km/hぐらいでも抑えられることもあります。
私は、後者を強者だと考えています。