東大と野球部と私
桑田真澄
【第4章 大事なことは「明日」と「次」】
[練習のための練習はいらない]
・一人の選手が僕のところに質問にきました。守備は安定しているものの、打撃に課題のある遊撃手です。「僕のバッティングはどうですか」と聞いてきました。彼は、線が細くて長打を打てる体ではありません。スイングもそこまで速くないのに、大振りをしていました。そこで、僕はこう提案しました。「投手目線で言うと、君のスイングは打ち取りやすい。投手が嫌がるのは、バットを少し短く持って、空振りせずにコツコツ当てること。特にランナーがいるときに空振りしてくれない打者を投手は嫌がる。君はたとえ線が細くても、バットの芯に当てれば内野は十分超えていくよ。大振りせずシャープに振った方が、投手から見ると嫌だと思うよ。」
・(バント時には)その構えだと両手が近すぎてバットの操作が不安定になるので、「左手はグリップエンド寄りで握るといいよ」とアドバイスしました。
・(右打者のアウトローがシュート回転し真ん中に入る投手に)右打者のアウトローは捨てて、左打者のアウトローと右打者のインコースを中心に投球を組み立てるのです。「外角はボールでいい。ストライクを投げようと思うから窮屈に感じる。ボールでいいと考えれば心理的に楽になるから、その中で感覚を掴んでいけばいい。そうすればストライク気味のボールに微調整できるようになるよ。」
・(投球フォーム)左足を上げて、①右足だけでバランスよく立つ。これで1分間制止します。次に②右肩を下げてヒップファーストの形を作り、1分間制止。そして、③体重移動して、④体重を乗せ返したところで、また1分間制止。①、②、④のところでそれぞれ1分間制止するのです。
・(投内連携)投手は①一塁手からトスを受ける②ベースを踏む③打者走者から逃げるという三つの動作をほぼ同時にやらなくてはなりません。〜投手は直線ではなく弧を描いて走る必要があります。〜しばらくその練習をした後に、投手と一塁種が交代します。自分のポジションを練習するだけでなく、相手のポジションも練習するのです。
・投手は360度全ての方向に投げなくてはなりません・しかも、投手の守備のミスは失点にもつながりやすい。だからこそ、「準備」「実行」「反省」が必要なのです。
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