投手論
吉井理人
【第3章 投手コーチが教えられるたった一つのこと】
[調整で調子を狂わせる]
・ただしそのためにはアメリカのように球数制限を決め、試合がもつれても先発ピッチャーの降板のタイミングを引っぱったりはしない起用法をとらなくてはならないが。決めた球数、というよりは、先発ピッチャーに疲れが出てくる前の、調子がいいところでスパッと代えて、次の先発に備えさせる。その方がピッチャーもリズムができて、一年間、調子を崩さずに、乗り切ることができるだろう。
・2010年から四年間日本ハムでプレーしたブライアン・ウルフは、もともと気合いを出さないタイプで、自分で今日はこれくらいだろうとイニング数を決め、自分からマウンドを降りようとする。もう降りると決めたら、いくらコーチがもう少し投げてくれ、と言っても、肩や肘を回しながら「この辺が」と泣き言を言ってくる。そこで彼が投げる時には、あらかじめ早い段階で「今日はブルペンを一枚休ませたいから七回までは行ってくれよ」と声を掛けておいた。吉川も似たところがあって、こっちがリードしてあげた方が力を発揮するタイプだった。
next:
back:「投手論」16
#野球 #baseball