「投手論」30

投手論

吉井理人

【第4章 エースの条件】

[佑ちゃんはパワーピッチャー]

・「前」というのは根本的には間違っていない。だが厳密い言うなら「前」ではなく、体に一番力が乗る前で放すのが重要だ。あえて意識して前で放そうとしなくとも、しっかり体重を乗せて、胸をグッと前に貼り出せば、どこで放そうと、自ずとボールは体の前で放たれていく。投球フォームというのはそういう単純な仕組みになっているのに、彼は意識しなくてはうまく投げられないとはき違えてしまっていたようだ。

・左膝が立った状態では体の動きは止まってしまうため、腕とともに自然と膝もいい具合に力が入った状態で曲がる(この時、前に出過ぎてしまうと力は逃げてしまう)。もちろんリリースポイントは特に意識しなくとも自然と耳の横(体に一番力が入る場所)でボールを投げられるようになっていた。

・技術的に修正すべき点は数多くあったが、斎藤というピッチャーは精神的には大人で、ピッチャーらしい性格をしていた。僕はコーチになった一年目から、新人投手に、キャンプに入るまでに自分のピッチングの特徴などを自己申告させて来た。特徴を知りたいというのもあったし、選手が自分のことをどう分析しているかというのも知りたかったからだ。レポートを見てイメージ通りだと納得する選手もいれば、別のことを考えている選手もいた。斎藤の場合、大学のピッチングを見た限り、すごく変化球の比率が高く、かわそう、かわして抑えようという意識が強く見られた。それだけに「打たせて取る投手」「試合を作る投手」などと書いてくるものだと思っていた。ところが、彼は違った。パワーピッチャー。

・少し僕に計算違いがあったとすれば、斎藤が自分の力について半信半疑のまま試合に臨んでしまったことで自ら調子を崩していき、それが彼の成長を阻害してしまったのかもしれないということだ。

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#野球 #baseball

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投稿者: 大林智也

新潟県内で「体修塾」という名で野球の個別指導をしています。 激しい変化の時代に、野球にどのような可能性があるのか、日々考えています。 そして、野球をplayすべての選手たちが「野球を楽しむ」ことができるように、変えていきたいと思っています。そのための、「個別指導」。これからの野球は個別指導・少人数練習が主流になります。このmind setを広げるために2016年から活動しています。 [経歴] 新潟県柏崎市出身 中学:柏崎リトルシニア 高校:新潟県立柏崎高等学校 大学:日本体育大学 体育学 学位 中高保健体育教員免許保持 大学院:上越教育大学大学院 教育学 修士 スポーツ心理学専攻 2019年まで学校現場で子供たちを指導してきました。2020年に独立。 選手としては五流。ですが、体育大学に入学できるほどスポーツ全般・運動が得意です。加えて、大学院までいき運動学の研究の分野にも関わっています。 ただ野球が上手いだけでない。 「野球」×「運動学」×「教育現場」×「研究」×「トレーナー」を掛け合わせ野球指導者です。 よろしくお願いします。 #体修塾 #個人指導  #ラプソード

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