野球センスの極意
立浪和義
【第4章 投手・捕手センス解説&列伝〜バッテリーの野球センス】
[試合をメイクするセンスを持った岩隈久志、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太]
・メジャーで結果を残す投手から感じるのは、試合を作る投球センス。アメリカでは、先発投手が6イニング以上を投げ、かつ自責点3点以内に抑えた時に、「クオリティ・スタート(QS)」が記録される。この指標からもわかるように、試合を作ることへの評価が高い。0点で抑えるのが理想だが、屈強な打者相手では、現実には難しい。ビックイニングを作らせずに、6回3失点でまとめることができれば、一定の評価を得られる。
QSのような考え方が日本では通用しない。試合の最後、勝っているか負けているかに集中しすぎである。野球は、チーム成績を見るより、個人成績にもっと目に向けるべきだ。先発投手はQSを目指すべきだ。試合に勝つ負けるではない。
・ローテーションを守るには、試合を作るセンスに長けていること。ヒットを打たれようが、過去と割り切り、表情を変えずに、目の前の打者に集中できる能力だ。
・例えば、田中投手の場合、武器であるスプリットの落ちが悪いと思えば、ツーシームやスライダーに切り替えられる。そうして投げていくうちに、中盤からスプリットの調子が戻ることもある。
・なお田中・前田両投手らは、先発でのゲームメイク能力に加え、前述のように、フィールディングや打撃の才能も豊か。総合的な野球センスを待ち合わせている点も、評価したい。
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