バッティングの理論
第6章 スタンスについて考える「”踏み込む”という動作について考える」
ー”踏み込む”という概念を正しく理解し、スクエアスタンスで確実性を高めようー
オープン、クローズドとスタンスを大別した中で、やはり基本となるのはスクエアスタンスだと思う。
スクエアスタンスは、誰にでも取り組め、やりやすいスタンスと定義できる。
スクエアスタンスからステップする際の概念について考えてみたい。
重心が外側へ逃げてしまう場合は、踏み込んでいることにはならないと思う。反対に、これらが崩れず、しっかりとパワーをためた状態になっていれば、オープンにステップしても踏み込んでいることになる。これが、”踏み込む”という表現の概念だろう。
打者の顔あたりから曲がるように見えるカーブを「ハンガー・カーブ」と言った。昔の打者にとって、このハンガー・カーブは絶好球だったから、投げ込んだ投手が「あっ」と肝を冷やした。ところが、最近の若い打者は、このような軌道を描くカーブが視界から消える。だから、頭に当たると感じて「あっ」と避けてしまう。このハンガー・カーブに対する「あっ」の違いが、最近の打者の持つ欠点を欠如に表現していると思う。
”踏み込む”という概念を正しく理解し、投手寄りの腕がストライクゾーンにかぶさらないようにチェックしておけば、スクエアスタンスはバッティングの確実性を高める近道になる。
人間の体は足の上に腰があり、腰の上に肩があり、肩の上に頭がある。その構造が考えれば、まっすぐに構えるスクエアスタンスが最も自然な構え方だといえるだろう。
”踏み込む”と”ハンガー・カーブ”という言葉が出てきた。言葉の概念を定めて共通認識を持つことはとても大切なことです。野球界の一つの問題点はこの言葉に共通認識がないことであり、チーム内ですらこの共通認識を持っていないことがあることである。