東大と野球部と私
桑田真澄
【特別対談 東大と野球部と私たち 大越健介×桑田真澄】
[「強い東大」が原体験だった]
・体育会的な上下関係はありませんでした。非常にフランクです。先輩に説教された記憶もありません。もちろん先輩には「ですます調」で話しますし、先輩が後輩に対して常に優しいわけでもないのですが、力があれば「お前、大したもんだな」と認めてくれたち、あるいは「ここはこうじゃない?」とアドバイスをしてくれたり、環境としては極めてよかったですね。
・これもわりと科学的にやっていました。当時、ウエイトトレーニングなどというのは、あまりなかった時代なんですが、東大では取り入れていました。「野球におけるウエイトトレーニングの創始者」といわれる人が、僕が入った時の監督なんです。
[基本は、やはりアウトローに決めること]
・アウトローでは必ずストライクを取れるということだと思います。
・ランナーを塁に出してもゲッツーを取れるシュートボールを覚えること。
[チーム力を高めるために]
・野球はボールを追うスポーツで、そのボールを持っている時間は誰が一番長いかといえば、当然ピッチャーですよね。ボールを持つことで場を支配する。その魅力を受け止め、自在に使うことができれば、名実ともにエースとして振る舞える。
[「自分の頭の悪さ」を知る]
・一般的な「頭の良さ」と、「野球脳」は全く違いますよね。他の大学と対戦することで、いかに自分の頭脳が働いていないかということを味わうんです。
・申し訳ないけれど、頭を使わないアスリートは基本に成就しませんよね。
・おそらく桑田さんの指導で、自分が克服すべき課題の見つけ方や、あるいはマインドセッティングの仕方、モチベーションの持ち方といった意識改革が芽生えてきたのではないか、と僕は感じています。
[100年の歴史に新風を吹き込む]
・そうやって感覚を研ぎ澄ませることを実際に見てもらうことだったんです。
[桑田効果とは]
・ですから3点以内に迎えよう、何かと4点取ってくれたら勝てると考えました。
・何かと最低でも5回までは「いい試合をするね」というチーム力にしたかったんです。
・もし6回でも3点で迎えて0−3だったら、まだ希望を持てるじゃないですか。
[支える野球]
・ますます恐縮してしまいます。僕の考えでは、プロ野球の監督というのは、いろいろなプレッシャーはあるのでしょうが、ある意味で楽だと思うんですよね。選手はみんなうまいわけですから。指導をするのに一番難しいのは小、中学生だと思うんです。指導者として、そのレベルの勉強をせずにプロのコーチや監督をしてはならないな、という思いが僕にはあったんです。
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